単純接触効果とは?企業マーケティングで「知っている会社」が選ばれやすくなる理由

しゅふのミカタ Think

企業のマーケティングや営業活動では、「一度情報を届ければ終わり」ではなく、顧客との接点を継続的につくることが重要です。

その理由を考えるうえで参考になるのが、心理学で知られる**「単純接触効果(ザイアンス効果)」**です。

単純接触効果とは、人や商品、ブランドなどに繰り返し接触することで、親近感や好意を持ちやすくなる心理現象を指します。

SNS、メール、ホームページ、展示会、営業活動など、企業と顧客との接点は多様化しています。

情報過多、さらにAIによって大量の情報が生み出される時代だからこそ、企業は「一度で売る」のではなく、複数の接点を通じて「知らない会社」から「知っている会社」へ変わっていく仕組みを考えることが重要になっています。

単純接触効果(ザイアンス効果)とは?

単純接触効果とは、同じ対象に繰り返し触れることで、その対象に対する親近感や好意が高まりやすくなる心理現象です。

「ザイアンス効果」と呼ばれることもあります。

例えば、毎日の通勤途中で同じポスターを目にしているとします。

最初は特に気にしていなくても、何度も目にするうちに、

「この商品、見たことがある」

「この会社名、知っている」

という感覚が生まれることがあります。

企業マーケティングでも、この「見たことがある」「聞いたことがある」という状態は重要です。

まったく知らない企業と、名前だけでも知っている企業。

初めて情報に触れたときの心理的な距離は、同じではありません。

なぜ企業マーケティングで単純接触効果が重要なのか

現在、消費者だけでなく企業の担当者も大量の情報に接しています。

メール、SNS、検索結果、Web広告、ニュース、チャットツールなど、仕事をしているだけでも多くの情報が入ってきます。

そのすべてを詳しく調べることはできません。

だからこそ、

「聞いたことがある」

「以前どこかで見た」

という既知感が、次の情報に触れるきっかけになることがあります。

例えば、まったく知らない会社から突然営業メールが届いた場合と、展示会で一度話した会社からメールが届いた場合を考えてみましょう。

メールという媒体は同じです。

しかし後者なら、

「あ、この前の会社だ」

と認識できます。

企業にとって継続的な顧客接点をつくることには、この「知らない会社」を「知っている会社」へ変えていく意味があります。

SNS広告とポスターでは「接触の仕方」が違う

単純接触効果を考えるうえで興味深いのが、デジタルとリアルでの接触方法の違いです。

SNS広告では、ユーザーの興味関心などをもとに、広告を届ける対象をある程度絞ることができます。

興味を持つ可能性の高い層へ効率的に接触できることは、デジタル広告の大きな強みです。

一方、駅や店舗、イベント会場などに掲示されるポスターは、別の方法で反復接触を生みます。

同じ場所に存在し続けることで、

昨日も見た。

今日も見た。

また目に入った。

という接触が生まれます。

つまり、

デジタルは「誰に届けるか」を最適化しやすい。

リアル媒体は「その場所に存在し続ける」ことで接触をつくれる。

どちらが優れているということではありません。

企業は、それぞれの特徴を理解して使い分けることが重要です。

BtoB営業でも「見たことがある会社」は強い

単純接触効果は、BtoCだけの話ではありません。

BtoBの営業やマーケティングでも考えることができます。

例えば、

展示会で名刺交換をする。

その後、営業メールが届く。

SNSで企業の投稿を見る。

検索したときに、その企業の記事を読む。

ホームページでサービス内容を確認する。

別のイベントでも企業名を見かける。

こうした接点が積み重なることで、

「知らない会社」から「知っている会社」へ

少しずつ認識が変わっていきます。

BtoBでは、商品やサービスを知った瞬間に発注するケースばかりではありません。

必要になったときに、

「そういえば、あの会社があったな」

と思い出してもらえることも重要です。

その意味でも、継続的な顧客接点をつくることには価値があります。

単純接触効果だけでは「信用」はつくれない

ただし、単純接触効果について注意したい点があります。

何度も見てもらえば、それだけで企業が信用されるわけではありません。

繰り返し接触することで生まれやすいのは、まず「親近感」「馴染み」「既知感」です。

企業として信用されるためには、その先の情報が必要になります。

例えば、

  • 会社概要
  • 事業内容
  • 実績
  • 導入事例
  • 担当者の対応
  • 専門的な情報発信
  • サービスの品質

などです。

企業名を知ってもらうことと、企業を信用してもらうことは同じではありません。

「認知」から「信用」へつなげる情報設計

しゅふのミカタでは、BtoBにおけるカスタマージャーニーの一つの考え方として、

情報認知 → 興味 → 信用 → 共有・判断 → 受注

という流れを考えています。

単純接触効果による継続的な接点は、特に「情報認知」や「興味」の段階を支えるものと考えられます。

そこから興味を持った人がホームページを訪れる。

会社について調べる。

実績や事例を見る。

企業として信用できるかを確認する。

そして社内で共有し、比較・判断する。

つまり、SNS、メール、ホームページ、展示会、営業などを単独で考えるのではなく、カスタマージャーニーの中でそれぞれの役割を考えることが重要です。

AI時代だからこそ企業の信用形成が重要になる

生成AIの普及によって、文章や画像などの情報を作るハードルは大きく下がりました。

企業にとって情報発信がしやすくなった一方、受け手からすると、

「この情報は本当なのか」

「この画像は実際のものなのか」

「この会社は信用できるのか」

と確認する場面も増えています。

情報が多いだけでは、企業の信用につながりにくい時代になっているとも考えられます。

だからこそ、

継続して存在を知ってもらうこと。

そして興味を持ってもらった後に、

信用を判断できる情報をきちんと用意しておくこと。

この両方が必要になります。

単純接触効果を企業活動に活かすポイント

単純接触効果をマーケティングや営業で活用するなら、単純に広告の表示回数を増やせばよいわけではありません。

重要なのは、顧客との接点を設計することです。

例えば、

SNSで知る。

記事を読む。

ホームページを見る。

展示会で話す。

営業メールを受け取る。

このように異なる接点を組み合わせれば、一つの媒体だけに依存せず、企業への理解を少しずつ深めてもらうことができます。

一度で売ろうとするのではなく、

「知らない」→「知っている」→「興味がある」→「信用できる」

と関係を進めていく。

単純接触効果は、その最初の部分を考えるヒントになります。

まとめ|単純接触効果は「知らない会社」から抜け出す第一歩

単純接触効果とは、人や商品、ブランドなどに繰り返し接触することで、親近感や好意を持ちやすくなる心理現象です。

企業マーケティングでも、

「見たことがある」

「名前を知っている」

という状態をつくることには意味があります。

ただし、認知と信用は別物です。

繰り返し接触して存在を知ってもらい、興味を持ってもらった後に、ホームページや実績、事例、担当者とのコミュニケーションなどを通じて信用を形成していく。

情報過多、そしてAIによって情報そのものを簡単につくれる時代だからこそ、

「知らない会社」から「知っている会社」へ。
「知っている会社」から「信用できる会社」へ。

この流れを意識した情報発信と顧客接点の設計が、企業にはますます重要になっていくのではないでしょうか。

しゅふのミカタからの所感

企業の情報発信というと、「何を発信するか」に目が向きがちです。

しかし、同じくらい重要なのが「どう接点を積み重ねるか」だと私たちは考えています。

SNSで知り、記事を読み、ホームページを訪れ、営業担当者と話す。

一つひとつは小さな接点でも、それらが積み重なることで、「知らない会社」は少しずつ「知っている会社」へ変わります。

そして、その先にあるのが信用です。

総不信時代だからこそ、一度の発信ですべてを伝えようとするのではなく、継続的な接点と、信用を確認できる情報の両方を積み重ねること。

それが、これからの企業の情報発信に求められる視点ではないでしょうか。